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(3)船底肋板
船底肋板の実測応力の変化は4.3.2に述べたように、衝撃の初期にはチャイン間の中央1/2だけに分布水圧を受け、その両端で1/2固定としたものに近く、次の時期には船体中心線で固定、チャインで支持に近い状態になる。それぞれの位置において大きい方のモーメントをとって、船体中心線で固定、チャインで支持の計算を行い、船体中心線では固定の計算値、その他の部分ではチャイン側における極大曲げモーメントを採用する。ただし、船側横肋骨で計算したチャイン部曲げモーメントがこれより大きいときは大きい方の値をとる。
RR11基準(案)によると、船底肋板の船体中心線における断面係数は
Z=210P1sl2/σy(cm3
P1:4.3.1による水圧(kgf/cm2
S:肋板の心距(m)
l:肋板のスパン(m)
(キールとチャインとの間の距離)
係数210は有効静水圧がP1の1/9とし、安全率1.5としたときのものであるから、もし4.3.2の水圧分布が正しいとすれば、それに相当して修正しなければならない。
船底肋板のチャイン部における断面係数は
Z=120P1sl2/σy(cm3
この場合も船型による分布荷重の修正が必要になる。
暫定基準では有効静水圧1/3P1に対し塑性設計で安全率1.5をとっている。
表5.14に船底肋板、船側肋骨、甲板横置梁の実例を示し、表5.15に船底肋板のRR11基準
(案)による計算値と実船値との比較を示す。
実船の断面係数が要求値に対し不足するものは、船底側桁が船底肋板を有効に固定していると認められるとき(後述)、側桁間の梁として、両端固定、安全率1.5として計算する。このとき、有効静水圧は縦肋骨と同じくP1の1/3とする。したがって、
Z:420Plsl2/σy(cm3
これを表5.16に示す。
「交通航2」は側桁がない。この艇は波のあるとき、高速で大角度変針をしないものとして計算すると、中心線において断面係数が不足するが、安全率でカバーされる範囲にある。
チャインが十分な角度を持って船底と船側とを分割していれば、チャインが剛性を保って肋板を支持しているが、船首部のようにチャインの角度が小さいと効きが悪く、また、船側にも波を受けてキールから舷端まで全体で衝撃を受けるようになる。
これをRR11基準(案)では、船側肋骨と肋板との間の角度が160°以上となる場合と規定し、そのときは肋骨と肋板とを一体の肋板として計算するよう定めている。計算上のスパンlは、船底肋板のスパンl1と船側肋骨のスパンl2との和、l1+l2とする。

 

 

 

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